NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTOの客室で、閑麗ある輝きをはなつヘッドボードやキャビネットの装飾。
その装飾は大正13年に創業以来、100年近くにわたり引箔を製造する『西村商店』と協業して製作。
「引箔」とは、西陣織の帯地に欠かすことのできない京都の伝統技法である。 和紙の上に色漆などで着色し、金銀やアルミなどの箔で模様をつけた原紙を、「切り屋」 と呼ばれる職人の手によって約0.3ミリの細さに裁断。
そうして出来上がった金糸を織り機に一本ずつ引っ掛け、引き込みながら織り上げていくことから引箔と呼ばれ、国の伝統工芸品に指定されている西陣織に欠かすことのできない歴史ある技法のひとつ。
「引箔」は、銀が硫化し変色する性質を利用した「焼箔」、箔片を目の細かなふるいに入れ筆でかき落とし模様をつける「砂子箔」、和紙を手で揉み、できたシワを利用した「もみ箔」など、さまざまな手法を用いて豊かな表現をすることが可能だ。
「箔と聞くと、イメージ的に"堅い"印象を持たれることが多いですが、実はとても自由度が高いのです。和装だけでなくインテリアやアクセサリー、さらには食器といった、 日常生活で使用するようなモダンなプロダクトも発信しています。」(西村直樹氏) 西村商店は現在、3代目となる職人の西村さんが引箔の伝統を継承。かつては20人ほどの職人が属していた工房は、時代の変化とともに職人が減少。 幼少期より当時の工房の賑わいを見ていた西村さんは「いつか自分が継ぎたい」という想いに。 以来、様々な修行を経験したのち、 実践の中から引箔の技術を学び、引箔の可能性を追求している。 今回のコラボレーションで誕生した、京都の伝統技術 "引箔"とNOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTOによるプロダクトは、客室の中で豊かな輝きをはなち、上質な旅の一時に彩りを与えてくれるだろう。