時代の流れとともに、日常生活から乖離してしまったモノ・コト。
日本の伝統工芸品であり、古くから愛されてきた着物もそのひとつ。
現在では再現できない繊細な手仕事と美しい色彩。
それぞれの想い出が詰まった着物を現代にも。
京都発のブランド『季緑-KIEN-』はそんな想いのもと、着物をドレスやワンピース、ウェディングドレスといった洋服にアップサイクルし、国内外に着物の魅力を発信している。
ここ京都で生まれ育った代表の北川淑恵さんは、幼少期より着物は身近な存在だったという。
「私の地元である四条烏丸は、呉服屋さんや友禅、洗い屋さんだったり、紋を描いているおばさんなど、着物に従事されている方がたくさんいらっしゃって。私自身も習い事やお祭りなどで着物を着るのが当たり前でした。大人になり、旧友から「着物業界がすごく衰退している。なんとかしたい」と相談があって。ある日、着物の生地を見に行ったら、何トンもの捨てられる着物が積み重なっている光景を目の当たりにして。すごくショックでしたね。この着物たちをなんとかしたい、という思いから着物ドレスの構想が始まりました」
昭和50~60年代に作られた留袖を中心に美しい柄と状態を見極め、職人たちと手を取り合いながらアップサイクルされたドレスは、優美さに加え、着物ならではの凛とした表情を見せる。
京都を代表する観光名所である、二条城から徒歩約5分の西大黒町にあるショールームでは、『季緑-KIEN-』の着物ドレスのサンプルが展示されており、ストックされている着物や、持ち込みの着物からオートクチュールのドレスやワンピースをオーダーすることができる。
忘れかけている日本の美意識を新しい価値観に表現することで、
着物文化そのものを紡ぐこと。
『季緑-KIEN-』は過去といま、そして未来の架け橋的な存在、と言えるだろう。
※NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTOでは季緑-KIEN-の着物ドレスの魅力に触れていただける体験=EXPERIENCEをご用意しております