カキモリ蔵前:地域の職人技が宿る文房具、体験、対話を通じて「書き姿」の魅力を伝える

--蔵前に出店するまでの経緯を教えてください。

(「カキモリ」オーナー 広瀬琢磨さん)僕は群馬県出身で、祖父の代から文房具店を営んでいました。以前はBtoBの事務用品を扱っていたところを、10年ほど前に「この先長い目で見たときに、文房具を通して新しい切り口で新しい感性を持った人に合わせて何かできないか」と思い、始めたのがこのお店です。出店当時蔵前は今ほど賑わっていなかったのですが、直感的に「この地域はこれからどんどん変わっていく」と感じて出店を決めました。
オープン当初は地域の皆さんも「新しい店ができた」とわくわく覗きに来つつ「文房具の小売店は絶対成り立たないよ」と心配する方も少なくなかったと思います。移転前の店舗は面積が小さく、やはりカウンターがあったので飲み屋だと思って入ってくる人も(笑)でも地域の皆さんも大事にしながら口コミが広がればと思いながら続けてきたら今に至る、という感じです。

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--この地域のユニークだと思うポイントはなんでしょうか。

台東区の中にも、交通の便が良く大型商業施設がある集客しやすい上野・浅草がある一方、パーソナルなこだわりが押し出されて「とがっている」御徒町・蔵前・鳥越などのエリアもある。この2つのコントラストが共存していて、外から来た人も両方を楽しむことができるのが特徴的だと思います。うちのお店も蔵前の外れにあるからこその良さがあるのではないかと。他の場所にも出店しているにも関わらず「カキモリといえば蔵前」と言って足を運んでくださるお客様もいらっしゃるので、地域性の大切さというのを改めて感じています。

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--お店の壁やウェブサイトでは、商品にまつわる地域の職人さんを紹介していますね。

当初から下町の職人の仕事を残していくというのはお店として重要なミッションでした。この近辺は手帳の産地の核となる場所なんです。でも、ただ仕事の受発注をするだけでは高齢化し後継者不足に直面している職人さんの状況は変わらない。職人さんの存在や活動ってすごく素敵だし、その人たちがいるからこのエリアがものづくりの街としてやっていけてるということをお客さんにもしっかり伝えて、最終的には職人技術の継承に繋がっていったらいいなと考えています。
以前は「表に名前を出したくない」というのが職人さんたちのスタンスだったのですが、最近は少しずつ変わり始めていて、恥ずかしがりながらも写真撮影させていただいて店の中に飾らせてもらっています。自分たちの仕事が形になってお店に並び、お客様がそれを手に取っている光景を目の当たりにして、職人さんたちもきっと喜んでくれているはずです。

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--文房具を取り扱う「カキモリ蔵前」以外にも、インクをオーダーメイドできる「inkstand by kakimori」も近くに出店されていますね。

カキモリは基本的に文房具店ですがオーダーメイドでノートを作ることもできます。焦点を当てている商品は店ごとに異なっても共通しているのは、「書く体験」のきっかけを作るお店として文房具を売ること。書斎など特別な場所でなくても、いつものカフェなどで手帳を開いて書きものをしている、その「書き姿」の魅力を商品や体験、スタッフとの対話を通して伝え、お客様に商品を持ち帰っていただいたあとも喜んで使っていただきたいと思っています。
書き心地にこだわる人、紙の手触りだけで選ぶ人、見た目にこだわる人など、オーダーの仕方はお客様によってさまざまです。だから試し書きでペンと紙の相性を見てもらったり、カウンター越しにスタッフとコミュニケーションをとりながら一緒にものづくりをする感覚で決めてもらう。そういったお店でしかできない体験を提供するのがこの空間だと思っています。

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Kakimori Kuramae カキモリ<蔵前>

万年筆、オーダーメイドのノート、それらの「書く」を取り囲む洗練された雑貨で、書く楽しさを伝える文房具専門店。代表の広瀬琢磨さんは文房具店の3代目で、デジタル化が進み書く機会が減る中、書く事の楽しさを改めて感じてもらうためカキモリを出店。ショップで取り扱うオリジナル文房具は、ひとつひとつ職人の手で丁寧につくられている。
kakimori.com
東京都台東区三筋1-6-2
ノーガホテル上野から徒歩18分、自転車で7分
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Tags : craft, design, Kakimori Kuramae, product, stationery