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Collaboration

タオルを通して人と出会い、街とつながる:モラルテックス

2020.08.12

秋葉原駅からわずかに歩いた場所にある神田明神。ノーガホテル 秋葉原 東京は、この氏子地域である東神田を拠点にタオルの委託生産を行うモラルテックス株式会社と客室オリジナルタオルをコラボレーション製作した。タオルの魅力を伝え、ホテルのコンセプト同じく地域の人々とのつながりを日々育む先で目指す街のあり方、タオルを取り巻く状況は何か。三代目代表の鳥山貴弘氏に話を伺った。

追求したのはノーガホテルならではの上質な触り心地

これまでにも生まれ育った東東京エリアの企業とのコラボレーションをいくつか経験してきた鳥山氏にとって、ノーガホテル 秋葉原 東京とコラボレーションも自然な流れで実現した。

「これまで日本橋の江戸切子メーカーなど東東京でもいくつかの会社さんとコラボレーションしてきましたが、秋葉原はノーガホテルさんが初めてです。『地域との深いつながりを』というコンセプトにとても共鳴し、コラボレーションをお受けしようと思いました。様々なタオルがある中、コンセプトに力を入れ高いクオリティを目指すホテルにご協力させていただけたのはありがたいです。」

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ノーガホテル 秋葉原 東京のオリジナルタオルは、日常で使うタオルでは味わえない、ホテルならではの使い心地となっている。

「このクオリティを実現するならここしかない、という国内タオルメーカーを選定し特注で生産しています。大事にしたかったのは、お客様が心地よい時間を過ごせるタオルであること。柔らかい仕上がりとなるエジプト綿を使用し縦緯の織りの密度に余裕を持たせ、毛足が長く、吸水性や肌触りのクオリティにもこだわりました。」

叔父の取り組みを引き継ぎ出会った1枚のタオル

モラルテックスは鳥山氏の父、博司氏が2代目社長を務めるタオルの卸商社「日東タオル」の子会社だ。1947年に創業し、長年大量生産が主なご挨拶用タオルを主力商品としてきた。
一方博司氏の弟、故・和茂氏も近隣地域の活性化に取り組む『セントラルイースト東京』で事務局長を務めていた存在。町とタオルをつなげ地域活性を図るアイデアを形にする活動は、鳥山氏の現在の取り組みにも影響することとなる。

「私は大学卒業後に仙台で10年ほどビジネスコンサルタントとして働き、震災を機に東京に戻り、学校教員としてを務めた後、に2014年に家業に参画しました。ところが間もなくして叔父が亡くなり、タオルの有識者や作り手、地域の方々など彼の人脈の窓口を全て私が引き継ぐことになったんです。ちょうど父も新たな事業の形態を考え始め、タオルを軸に次のステップを探し始めた段階で別会社としてモラルテックス株式会社を創業しました。」

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品質にこだわった国産タオルの委託生産業に移行するきっかけとなったのは、「タオルの先生」との出会いが大きいと鳥山氏は話す。

「祖父の代からご縁のある東京タオル卸商業組合理事長の森和彦さんに素材や縫製などタオルの基礎を教育していただき、森さんをとおして最上級の国産タオルを作っているホットマン株式会社代表の坂本将之さんと知り合いました。その時みせてもらったタオルが本当に素晴らしく、触った瞬間に一目惚れして。初対面早々に『タオルを代理店として販売させてほしい』と伝え、一緒にフラグシップブランド『オッキデ』を作ることになりました。」

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コラボレーションの動きを寄せ集める「触媒の場」

社名「モラルテックス」は、日東タオルの看板商品だった国産タオルのブランド名が由来となっている。

「倫理を意味する『モラル』、テキスタイルとテクニックにかけて『テックス』を組み合わせ祖父が考案しました。現代のSDGsなどの社会課題に一致して響きますし、企業や地域含めてサステナブルでありたいという私たちの思いにも重なります。その一環として持続可能な事業となるために、色んな方にとっての触媒となる場を作りたいと考え2018年にモラルテックス・ラボをオープンしました。」

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カフェとショールームが併設する形態になったのは、タオル業界以外の方にも気軽に商品を手にとってもらいたかったから。偶然店内を訪れた経営者が興味を持ち、実際にいくつかのコラボレーションプロジェクトに発展した例もあると言う。

「コラボレーションの醍醐味は、やはり異なる基準で考えてる人の新しい価値観に触れる面白さ。最近、ラボは色んな方とコラボレーションするための船で、旗を立てていれば必ず誰かとの出会いがあるとよく感じます。交流が生まれ、タオルを通して人がつながれば嬉しいです。」

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タオルを通して人がワクワクしている状況を見たい

モラルテックス・ラボに代表されるように、ノーガホテル同様に地域に密着する姿勢、それに関連した取り組みが特徴だ。

「この地域はやはり町内会の結びつきがあるので、それをなるべく商売に活かしたいという思いはあります。新しい人が足を運んだ時に、街の相談所として周辺情報をちゃんと伝えてあげられる場所でありたいです。」

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「震災や新型コロナウイルスの影響から思ったのが、身近な人と平和にいられるって実は特別なのかもしれないなということ。飲食店への来客が減った時、近隣ギャラリーが飲食店への送客を促すなど『お互い様』と助け合う光景がありました。そういった出来事を引き出しながら、面白い人が集まる場を作れば街自体が居心地良くなるのでは。その受け皿としてもモラルテックス・ラボが機能すればと思ってます。」

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全ての活動の先に目指すものは、タオル業界に参画する以前の鳥山氏の仕事にもつながる。

「多分僕は、教員だったので何かを伝えることや教えること、それで人がワクワクしてる状態を見るのが好きなんです。人が何かをより深く知るために勉強し始めることとタオルを組み合わせ、そのような状況を作れたらと思っています。」

最高級のタオルに触れることをきっかけに、作り手や地域とのつながりにワクワクしながら好奇心をはたらかせる状況がノーガホテル 秋葉原 東京でも起これば何よりだ。

Profile

プロフィール
モラルテックス
1947年に創業したタオル問屋・日東タオルの流れを汲むタオルの企画会社。2017年の創業当時からタオルに関するさまざまなプロジェクトをスタート。同時にカフェ&セレクトショップ「モラルテックス・ラボ」も開設。これまで問屋と直接関わりがなかった人との交流を通じて、タオルの新しい可能性を探っている。
https://www.moraltex.tokyo/