--Comptoir Coin(コントワール・クアン)の名前の由来はなんですか。
(「Comptoir Coin」代表 丸井裕介さん)「コントワール」というのはカウンターのあるお店の総称で、「クアン」はフランス語で「たまり場」という意味です。2015年9月に開店して以来、ふらっと立ち寄るような近隣の方も多く常連さんとして通ってくれています。SNSを通して知っていただき、海外含め遠方からお越しいただくお客さんもいますね。
--お客さんは近所の方が多いとのことですが、地元の人や周辺のお店と交流はありますか。
ありますね。下町なので人と人との距離感が近くコミュニティが自然に形成されやすい。加えて僕のお店は小さな空間に10席程度、席同士の距離も近いので会話が自然に発生しやすいのだと思います。オープンキッチンなので僕自身もお客さんと自然にコミュニケーションが取れていますし。そうしたつながりから発展して、お客さんに紹介してもらった作家さんから食器を買って揃えたこともあります。
--Comptoir Coinさんの特徴はそのジャンルレスなメニュー展開、そしてなんといっても「ナチュラルワインが美味しい」ということ。お店を開くにあたってもそこは意識されたのでしょうか。
僕自身、もともとワインが苦手だったんです。でもナチュラルワインに出会って初めてワインを美味しく飲めるようになって。その経験が衝撃的だったしすごく嬉しかったんです。僕と同じように、ナチュラルワインをきっかけにワインに対する考えを180度変えるきっかけができればいいなと思ったのもお店を開くきっかけの一つでした。
お店をオープンした当初、ナチュラルワインを扱う飲食店はこの地域にあまりなかったということ。そして僕がこの地域にほど近い場所で生まれ育ったこともあり、地元でゆっくりナチュラルワインを飲める場所を作りたくて、蔵前の中でも静かなこのエリアを選びました。
実際にうちのお店で初めてナチュラルワインを飲んでワインが飲めるようになったり、ワインに対する考えが変わったと仰るお客さんは多いですね。最初は純粋にナチュラルワインの「美味しさ」への感動をきっかけとして、そこからそれぞれの興味関心、例えば産地ごとの風味の違いなどを深堀りしていくお手伝いをできればいいなと。美味しいものであればシンプルに伝わる、そう思っています。
--ワインと料理の組み合わせは意識されていますか?
実はペアリングはあまり意識していないです。料理はお腹いっぱいに食べて満足してもらえたら、と思って作っています。肩肘張らずお客さんそれぞれのスタイルで楽しんでいただける下町のワインバーを目指しているので、例えばパスタで小腹を満たしてワインと一緒に楽しむのもいいですし、デザートとワイン一杯を軽く嗜むのも歓迎です。
--オープンしてからの数年で、この地域の変化は感じますか?
外から入ってきている人は年々増えている印象はありますが、地元の人は変わらないですね。やはりこの地域の特徴として昔から長くやっているお店が多いので、自分のお店もできるだけ長く続けたい。長く続けた分だけ街のことを知るきっかけづくりをこちらから提供できると思います。これは僕のお店でのナチュラルワインの紹介の仕方と同じですね。きっかけを作ったあとはそれぞれが気になったことを広げていく、そうしてコミュニティが成長していく。その後押しのお手伝いをお店としてできればと考えてます。