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Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE:「何かが起きそう」期待のつまった余白

2019.02.26

--台東区内では入谷の「ゲストハウス toco.(トコ)」、蔵前の「Nui. (ヌイ)HOSTEL & BAR LOUNGE」を展開されていますが、蔵前にNui.をオープンした当時、そして現在の地域の印象はどんなものでしょうか。

(「Nui.」運営 Backpackers' Japan代表取締役 本間貴裕さん)Nui.はおもちゃ屋さんの倉庫を改装して作った場所です。宿泊者が客室に上がる時のエレベーターも業務用のもので、客室の窓にもその名残はまだあります。僕らがNui.を始めた頃は人通りがほとんどなくて、まさか浅草のすぐ隣にある場所と思ってないゲストも多くいましたね。また、蔵前は革や金属の職人さんが多いので、現在はそのつながりの常連さんも多くNui.に来ます。その人たちにお店のデザインを手がけてもらうこともありました。ALLOYの山崎勇人さんなんかもそうですね。
ものづくりに関わる職人さんやデザイナーさんが同じ町に大勢いるっていうのはとてもユニークだと思います。作り手の人たちって、自立してる。しっかり芯が通って凛としているから話してても面白いし気持ちがいい。そういう人たちと自転車でオッスってすれ違いながら通勤してきます(笑)

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--本間さんが手がけられる場所といえば、ラウンジにいつも人が集まってるイメージがあります。でもこれは最初から「ラウンジ」を作ろうとしたわけではないと。

最初起業した時に掲げた「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を。」という企業理念はあくまで宿泊者同士に限定されたものだったんです。2010年にtoco.にバーができたのは、実は大工さんが僕たちの反対を押し切って作ったものなんですね。結果として周辺に住んでる方たちも集まって宿泊者と混ざる空間が生まれて、偶然だったけど良い景色が生まれました。そこに熱意を持って運営に関わってくれたスタッフのおかげもあり、今はNui.をはじめ私たちが運営している他の店舗でも宿泊者と地元に住む方々が混ざるラウンジが必ずあります。

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でも、ラウンジを作ったからといって必然的に人が混ざるわけでもないんです。デザインやレイアウトはもちろん、そこにいるスタッフと訪れる人の空気感で全然違ってきます。毎日様々な背景を持った人々が集う空間を生み出すというのは、その場その場の状況によって変わっていくナマモノを扱う難しさもあるけどすごくダイナミック。僕らにもまだまだやれることはあると思いながら日々努力しています。

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--言葉の定義上『ホステル』は「ドミトリー(相部屋)形式」のある宿泊施設ということになりますが、それ以外で『ホテル』との違いはなんだと思いますか。

僕たちの感覚で説明するなら、今はもはや呼び方の問題より「何か起きそうな予感がする」という期待感があるかどうかの違いなのかなと思います。安くて、きれいで、安定したサービスを受けられるホテルは沢山あります。でもそれ以上に、バックパッカーが多いホステルや内外の人が集うラウンジには、新しい仲間と出会うかもしれない、何か素敵なことが偶然起きそうという、泊まる以上のちょっとしたドキドキがあるじゃないですか。それは、いろんな国から旅行に来ている人たちが、明るさやワクワク感、多様性のある空気を自然に作り出しているからだと思います。
僕たちは宿泊施設以前に、人が集う空間に魅力を感じて活動しています。それを作る仕掛けとしての宿泊機能、ですね。「何かが起きそう」という余白のある空間は、日常の外へと繋がっていく体験を生むことができる。そういった場所は、どの街にも必要だと思います。

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--Nui.のラウンジにあるちょっとした段差やソファも、全て用途を定義されてるわけではなくて使い方や関わり方に余白があって、訪れる人の過ごし方も緩やかにしていくヒントになっていますね。

そうやってここに来る人の視野が広がって、人同士の関わり方や過ごし方が変化してくれたら僕たちも嬉しいです。「旅行者と話したら楽しいじゃん」「英語は意外と片言でも伝わるんだな」とか、今までの生活の範囲をちょっと超えたところに発見があればいいなと思っています。
あとは人と話すことが純粋に嬉しくなる瞬間を見つけてもらうこと。洋服がかっこいいと思う人がいたら「その服いいね」って褒めればいいし、いい音楽がかかっていたら「音楽最高だね」って話せばいい。壁を取り払って、本能的に良いと思えるものを分かち合える空気が自然と立ちこめるような場所でありたいです。

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--台東区自体のおおらかな雰囲気もそれを後押しするきっかけの一つになりそうです。

台東区って下町と都会をどちらも含んでいる土地なので、様々なことを幅広く受け止めてくれる文化圏だと思ってて。外から来た人に対してもほどよくウェルカムで、地元の人々の生活の匂いも感じる。そこが面白くて僕たちはここから抜けられないでいます。
Nui.やtoco.には地域のおばあちゃんや子どもにもぜひ足を運んでほしいですね。この場所を体験して「なんか面白いな」と感じてもらって、普段の生活の外側にあるものと繋がるワクワク感や、発見が生まれたらいいなと思います。

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Profile

プロフィール
Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE
ヌイ ホステル&バーラウンジ
2012年開業のホステル兼バーラウンジ。玩具会社の元倉庫を改装したホステルは外国人旅行者を中心に世界中から人が訪れる。一階スペースは宿泊客以外も利用可能なラウンジとなっており、昼はカフェ、夜はバーとして地元の人や宿泊客で賑わう。
backpackersjapan.co.jp/nuihostel
東京都台東区蔵前2-14-13
ノーガホテル上野から徒歩24分、自転車で9分
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